「日本画」を「世界画」へ
2010.12.22
現在、当館では「日本画の国際化」というテーマの展覧会を開催しています。単に海外を取材し描いた作品を展示するだけではなく、現代の国際人の感覚に合った作品を展示して、そこから日本画の新地平を展望する展観になっています。
最近では、一部の識者の間には「日本画」という呼び方を改め、油絵の「洋画」に対し、岩絵具を使用することから「岩彩画」とした方がよいとする意見が出ています。
フランス近代が生んだ印象派を「フランス画」とは呼ばないとか、イギリスも、ドイツも、イタリアも、アメリカも、中国も、自国の絵画をわざわざ国名を冠して命名していない等です。どうして日本だけが自国の絵画をわざわざ「日本画」と呼ぶのかという否定的な見解です。
いまだに「日本画」と呼ぶから、諸外国からは特殊な絵画だとみなされて、なかなか国際性が獲得できないのだと主張されています。
そこで、いっそのこと「日本画」の呼称を全廃して、もっと普遍性のある名称をあてるべきだという人が現れます。
日本画材の発色の美しさ、千数百年このかた変わらない高度に完成された岩彩と膠の優れた取り合わせを尊重するのであれば、「岩彩画」と呼ぶのがより相応しいという考えです。
これからますます文化・芸術はグローバル化していきます。この展覧会の意義の一つに、未来の日本画を育むきっかけになれば...という願いがあります。