時の旅人
2008.04.22
「柳沢正人−時空を超えて−」(〜6/12)分割の大画面によってヨーロッパのイタリアはフィレンツェ、ローマなどを描く柳沢正人先生の日本画は、個として立つ決意の新しい表現です。その大景観は、世界遺産として広く知られるものですが、スピーディで、色彩が鮮明で、旧来の日本画にない清朗さと斬新さとをたたえています。都会派の現代日本画として、輝きが増している画人の筆頭格でしょう。
水面がきらきらと波立つ表現や、光が燦々と輝く清浄な大気の朗らかさは、画家の大きな特徴のひとつです。ベニスや北欧のフィヨルド、ドナウ川などの水や、南欧の乾いた光のシャワーが、その構図の大胆さとともに現れます。レンガの重厚な質感や存在感が、教会の回廊の古色を帯びた歴史的建造物とともに出現します。
独自のアングルと鮮烈な色彩とが、歴史的景観の目撃者へと誘う魅惑あふれる世界です。是非ご堪能ください。(学芸部)