【今週の1点】平山郁夫「鄯善国妃子<楼蘭の王女>」
2012.12.27
楼蘭は、中央アジアのロプノール湖畔(現在の中国領新疆ウイグル自治区)に実際に存在したとされる都市で、紀元前400年頃になんらかの理由で都市全体が放棄され廃墟となりました。
この作品は、楼蘭が放棄されるとき、移り去るのを嘆いた女王が、美しいオアシスの自国に留まり永遠に眠ることにしたという伝説に構想を得て、平山が実際に楼蘭を訪れることになる10年前の1976年に描かれました。
澄んだ星空の下、柔らかな月明かりに護られるようにして静かに横たわる女王は、まるでほのかに発光しているかのようで、大変に美しい幻想的な作品です。
1980年、楼蘭遺跡から中国新疆文物考古研究所により乙女のミイラが発見され「楼蘭の美女」と話題になりましたが、調査の結果、楼蘭王国よりはるか昔の約3800年前の女性のものと判明しました。