【今週の1点】吉岡堅二「黒鳥屏風」
2013.03.29
「僕の絵は、まず画面に対角線をひいて中心に何かを置くことから始まるんです。この場合は赤いくちばしだな。そして四曲それぞれの面を対角線構図で構成しながら、全体の動きを決めていく。ただ情趣だけの絵は、一皮むけば何も残りませんからね。」(文・吉岡堅二)
現在開催中の「成川美術館の至宝 第1回創画会の作家を中心に」では、山本丘人とともに創造美術(現在の創画会)の主力創立会員となった吉岡堅二の代表作である本作を展示しています。
周到な造形的計算の他に、さまざまな箔を使い分けるなど日本画の高度な技術が見受けられる本作には、戦前からの前衛日本画として真っ向から勝負を続けてきたこの作家に、東洋画の正統を外さないという誇りや信念もうかがえます。それは京都生まれの日本画家を父にもち、15歳で入門した野田九浦に技法的なことを徹底的に教え込まれた吉岡にとってはごく自然なことだったのかもしれません。
*是非実物を見に美術館へいらしてください。